昔から人々の暮らしの中に息づいてきました。
けれども忙しい日々の中で、その小さな幸せや感動を
見過ごしてしまいがちです。
人生にはどんな日にも意味があり、自然とともにある
暮らしにこそ幸せの種があります。
『日日是自然』は、四季折々の恵みや先人の知恵、
心と体を整える暮らしのヒントを通じて、
日常に自然を取り戻すきっかけになればと願っています。
小さな気づきが、大きなやすらぎにつながりますように。
受け継がれてきた、発酵の知恵と暮らし
台所に息づく、小さな発酵の物語し
日本の食文化を支える小さな菌
麹(こうじ)は、蒸したお米や麦、大豆に種麹(たねこうじ)を種付けして育てたもの。麹菌はでんぷんをブドウ糖に、たんぱく質をアミノ酸に分解し素材の甘みや旨みを引き出します。この働きによって、味噌や醤油、みりん、甘酒といった日本を代表する発酵食品が生まれました。酵素の力に優れた麹菌は「国菌」にも指定され、日本の食文化を長く支えてきた存在です。
腸内環境を整える、発酵のちから
麹菌は、食卓を豊かにするだけでなく、健康の面でも力を発揮します。麹菌が作り出す酵素の働きで、でんぷんやたんぱく質が分解され、オリゴ糖やアミノ酸、ペプチド、ビタミンなどの有用成分が生まれます。発酵でできたオリゴ糖は腸内の善玉菌を元気にして腸の調子を整え、免疫力を高めます。腸が整うことで体全体が軽やかに感じられ、風邪をひきにくくしたり疲れを和らげたりする助けにもなります。ビタミンB群はエネルギー代謝を支え、現代の食生活で不足しがちな栄養を補います。アミノ酸やペプチドには抗酸化作用や血圧改善に関わる働きがあるとされ、麹菌の酵素が生み出すこれらの成分が、暮らしの中で無理なく健康をサポートしてくれるのです。
米麹は、白くふんわりとした姿が愛らしく、台所では頼もしい存在です。塩麹や醤油麹、玉ねぎ麹、甘麹などを自家製で常備しておけば、毎日のごはん作りがぐっと楽しくなります。肉や魚に漬ければやわらかくなり、野菜と和えれば自然な甘みと旨みが広がります。ほんの少し加えるだけで料理に深みが生まれ、食卓にやさしい豊かさを添えてくれるそれが発酵の魅力です。
麹は単なる調味料ではなく、代々受け継がれてきた暮らしの知恵そのもの。台所に麹を迎えることは、日々の暮らしをていねいに重ねることにつながります。小さな瓶の中で静かに育まれる発酵の世界が、食卓をやさしく支え、心も体も満たしてくれるのです。
常温発酵塩麹の作り方
(仕上がり量:約280ml)
・米麹(生麹…100g / 乾燥麹…80g)
・天日海塩…30g
(精製塩ではないものがおすすめ)
・水(浄水またはミネラルウォーター)
…生麹の場合:150ml
…乾燥麹の場合:180~200ml
レシピ
①煮沸またはアルコール消毒をした清潔なガラス瓶に、米麹と塩を入れる。
②塩がまんべんなく行き渡るよう、スプーンなどでよく混ぜる。
③水を少しずつ加え、全体がしっとりするまでなじませる。乾燥麹の場合はひたひたになるくらいを目安に。
④瓶にラップやペーパーをかぶせるか、軽くフタをし直接日の当たらない所で常温(20~25℃前後)で保存。
⑤毎日1回、清潔なスプーンや箸で混ぜ、5~7日後麹がやわらかくなり、とろりとして甘い香りがしたら完成。冷蔵庫で保存し、なるべく1ヶ月以内に使い切る。
醤油麹の作り方
(仕上がり量:約210〜250ml)
・米麹(生麹…100g / 乾燥麹…80g)
・醤油 110〜150ml(麹がかぶる程度。濃口がおすすめ)
※大豆・小麦・塩のみで作られた、シンプルな原材料のものがおすすめ
レシピ
①煮沸またはアルコール消毒をした清潔なガラス瓶に、米麹と塩を入れる。
②醤油を注ぎ、全体をよく混ぜる。乾燥麹の場合はやや多め(140mlほど)に。
※1日経ち、麹が醤油を吸い、上面が乾いてきたら、10mlほど醤油を足す。
③瓶にラップやペーパーをかぶせるか、軽くフタをして常温(20〜25℃前後)で保存。
④毎日1回、清潔なスプーンで混ぜ、麹がやわらかくなり、まろやかなコクと旨みを感じたら完成。
⑤冷蔵庫で保存し、2〜3ヶ月を目安に使い切る。
塩麹、醤油麹共に常温発酵の目安
・春・秋:7〜10日 ・夏:5〜7日 ・冬:10〜14日